2021 LPGA Q-シリーズ【古江、渋野選手】
2021年のLPGAツアー最終予選=Q-シリーズをアラバマ州モービルに観に行きました。2年ぶりに開催される今年の最終予選会には世界ランキング上位者枠で日本から古江彩佳、渋野日向子の2選手が出場しました。
最終予選会への道
古江・渋野両選手が出ると聞いてすぐに、Qシリーズって一般のお客さんも入場できるもんなのかなぁと調べ始めました。日本のQTは入場不可ですから。
でもネットに情報は皆無。
公式サイトなんてあってないようなもので、情報自体も出場選手に向けた案内がほとんど。
仕方がないのでウェブサイトに載っていた公式事務局のメールアドレス宛に直接問い合わせてみました。
すると割とすぐに返事が来て、「一般のお客さんもウェルカムですよ! 入場無料ですけど、フードとドリンクは売ってないと思うんで承知おきください」とのメッセージが入っていました。
ほぉー、ということで追加質問した結果、「携帯・カメラに関するポリシーは通常のLPGAの大会と一緒」「ギャラリー専用駐車場はないけど、選手用駐車場が一杯ならその奥のボランティア用駐車場を利用可能」とのことでした。
タダなうえに選手と同じクラブハウスの駐車場を使っていいのか! と驚愕はしたものの、シアトルからアラバマって遠いよなぁ。とくに今回の会場となるモービル(week 1) とドーサン (week 2) って、とてつもなく田舎でかつ交通の便が悪いんだよなぁ。でも行ってみたいなぁ。
ということで、比較的アクセスのいい第一週目のモービルに行くことに決めました。モービルの空港まではダラス経由で乗り換え一回で往復できること、特に往路は深夜便がモービルの朝に着くので時間を有効に使えるからです。ゴルフ観戦は金曜~日曜の3日間。帰路も最終組のホールアウト後に空港に向かえばその日のうちに余裕でシアトルに帰り翌月曜から仕事に戻れるスケジュールを組みました。
片道7時間以上かかるもののフライトの値段もそんなに高くはなかったです。今さっきANAの国内便のフライトを検索してみましたが東京~沖縄往復よりも安いです。レンタカー利用で2泊の予定なので、溜まりまくって使いようがないそのANAのマイレージでホテルを予約しました。
アラバマへの道
まぁこのブログを読んでくださっているかたであれば、ボクがたびたび飛行機に乗ってゴルフ観戦に行っているのはご存じかと思います。今回も多分に漏れず木曜深夜にシアトル国際空港から飛び立ちました。アメリカではコロナはほぼなかったことになっているので、マスク着用以外は通常と何も変わらず、機内の座席もまぁまぁ埋まっています。
大会二日目金曜日の渋野選手と古江選手のティーオフ予定時間は午前9時半過ぎ。そしてボクの乗る飛行機が最寄りのアラバマ州モービルに到着するのが午前9時前。小さい空港だと思うのですんなりレンタカーを借りられればなんとか1番ホールに間に合うかなぁと目算しておりました。
しかし!乗り継ぎのテキサス州ダラス・フォートワース空港で天候不良につき離陸が遅れるとのアナウンスが・・・。
機内で1時間近く待たされ、結局コース最寄りのモービル空港に到着したのがティーオフ時間を遥かに過ぎた午前10時。レンタカーのチェックアウトと移動はスムーズだったのでその30分後には会場駐車場に到着できましたが、飛行機のディレイは痛かった・・・。
ワシントン州シアトルの自宅を出てから計11時間。ようやくアラバマ州モービルのロバート・トレント・ジュニア・ゴルフ・トレイルに着きました。
いやー、でもクラブハウス横付け最高ですね! 入場ゲートもなく、あとはすでにティーオフした渋野さんと古江さんを追うだけです。入場無料で日本のトッププレーヤーと国民的スターを観れるって最高過ぎる!
渋野さんか、古江さんか
でさらにこの金曜日大会2日目の組み合わせに問題が。
1週目の4日間は、クロッシングス、フォールズという2コース36ホールで戦う訳ですが、この日は渋野選手がクロッシングス、古江選手がフォールズを割り当てられていました。それもスタート時間が9時36分で全く一緒。両方の選手を観たい私としてはどちらを最初に観るか決めなければなりません。
なおかつ複数の選手を追いたいボクみたいなギャラリーにとっては激悪のレイアウトでありまして、この2コースはまったく隣り合ってません。クラブハウスを起点として180度全く違う方向にレイアウトされているイメージ。かつ、日本のコースでしたら、ほとんどの場合アウト9番ホールで一度クラブハウスに戻る設計になっていると思うのですが、古江さんのまわるフォールズコースに至っては9番&10番がクラブハウスから最も遠くに位置しているという、つまりどういうことかというと、古江さんがハーフを終えたあと渋野さんのプレーを見ようとすると、9番→1番まで戻り、さらに渋野さんが10番からホールを進めた分だけさらに歩かなければならないという地獄の様相を呈するわけです。
でもどちらを先に観てもほぼ条件は同じ。
なら今まで観たことがない古江さん優先!ということでフォールズコースを歩いていきました。
で、追いつきました古江彩佳選手。
噂通り小さい。
けどスイングリズムがいいですね! さすが日本のメルセデスランキングで1位、賞金ランキング2位になった選手だけあります。
お母さま、関係者、日本のメディアを除けば、ギャラリーらしいギャラリーは自分だけ?
さっそく「ナイスパーでーす」の声を掛けさせてもらいました。そして古江さんから「サンクス!」の声が返ってきました。
日本語に対して英語の返答。
オッケーです。大丈夫です。慣れてます。いや、石川遼に英語で言ったつもりがハニカミながら日本語で「ありがとうございます」と言われたこともあったっけ。
「グッドショット!」と声を掛けていたら、一緒にまわっていた古江さんのマネジメントを担当されているとおっしゃる方から「日本のかたですか?」とお声かけ頂きました。ギャラリーがいなかったですからね。目立ちますよね。というか、このアメリカでのマネジメントの方、ツアーのロープの外でよくお見掛けします。どの選手だったか覚えていませんが、とにかく「またいる!」と思ったことは確か。
初めて見たスイングの印象など共有したりよもやま話などしながら古江選手のプレーにまた集中します。
Qシリーズのオペレーションってシンプルっちゃシンプル。基本的に1組3人にボランティアが一人しか付きません。担当の選手達を追って乗用カートを運転しながら選手のスコアを記録しているようです。たまにティーグランドやグリーン担当のボランティアもいましたけどすべてのホールに常駐しているわけではないようです。またトーナメントでは当たり前のキャリングボードを持つスタッフもいません。というかリーダーボードなるものすらこのコースには見当たりません。ギャラリースタンドなどもってのほか。特設されているのは1番ティーグラウンドのチェックイン&スターター用テントと18番グリーン奥のスコア確認用テントの二つのみです。フードコートもなければ仮設トイレもありません。選手用のトイレをギャラリー/ボランティア/関係者も使います。
全体的に進行が遅いのか、古江選手の組のリズムが良すぎるのか、待ち時間がよく発生していました。選手とギャラリーを区切るロープがないので、そうなると選手/関係者/レポーター入り乱れてのチャット大会と化していました。これは普通の試合ではあまり見られない光景ですね。 もちろんボクなんかは参加できませんよ。変なことを言ってプレーヤーが気を悪くでもしたら一大事ですし、日本のメディアがいるので変に取り上げられても困るし。(考えすぎ?)
といった感じで古江さんの観戦に一旦区切りをつけ、渋野日向子選手を追うことにします。
しかし先ほども言ったように、この移動が大変! そしてこれが想像以上に大変! 携帯にコースレイアウトをメモしてはきたんですが、なにせ初めてのコース、かつちゃんとしたレイアウト図などない林間コースの中で、目標物もなく誰もいないコースを歩くのは大変でした! アップダウンも堪える!
1時間かそこら歩いてどうにか追いついた時、渋野組はもう16番ホールに達していました。
古江組と違ってこの組は人が多いですね! ギャラリーは1~2人だと思うんですが、選手関係者の数が半端ない。メディアもこちらが中心のようで、WOWOWの生中継でそれぞれの選手がどのように映っているのか知りませんが、テレビカメラの背後にいる人数は明らかに渋野組が多いです。これを不公平とは言いませんし、それだけ視聴者の需要があるということなんですよね。
かつこの上がりホールの渋野選手のスコアがあまり良くなく、「ナイスなんちゃら!」と声を掛ける雰囲気でもなく、ストレスが溜まった状態でのホールアウトとなりました。
対して同じくホールアウト間近の古江彩佳選手。
最後18番をバーディーで締めて囲み取材で笑顔も見られました。若干ペースの早かった渋野選手の取材を終えた報道陣が大挙して古江選手に押し寄せた感じ。WOWOWの取材が終わると、それとは別にまた囲み取材があるんですね。大変だわ、選手は。
でも横で聞いていた会話が活字になって翌日のメディアに出るのはなんか面白いですね。これはこの大会に限った話ではなく、ラウンドを終えた日本人選手はほぼ必ず日本のメディアの取材を受けるのですが、今回はプレスエリアのようなものがないためか我々のいるオープンスペースにいること、そして個人的にはこのあとやることがないので暇なこと(笑)から、ぼーっとインタビューを眺めていました。
しかしこんな大勢で取材を受けているのは日本人選手だけです。LPGAの現地スタッフが一人だけスマホをスタビライザーに乗せて取材をしていたようでしたが、渋野・古江両選手に対するメディアのボリュームはちょっと異様に映ったかもしれません。でもこれもLPGAの風物詩といえば風物詩のような気もします。常に専用カメラが追い、ラウンド後に日本語で取材を受けているのは日本人選手だけですから。
スタート時間の比較的遅かった渋野、古江両選手ですが、可能な限り居残り練習をしていたようです。その際、渋野選手を東京から追ってこられたファンの方とお話しさせていただきました。パッティンググリーンで黙々と玉を転がす選手に視線を送っているのはこの2人だけ。そんな状況で目の前にいる渋野さんがどれだけ素晴らしい選手であり人間なのか語るってのは、なかなかできない経験だなぁと思いました。w
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
第一週土曜日のラウンドへ
なんかあるウェブメディアでは古江さんのインタビューを引用して「田舎なので日本食屋がない」と書かれていましたが、結構ありましたよw ボクの宿泊していたホテルの近所にも日本食レストランがあり、それなりにちゃんとしたようなものを出していたようでした。(行かなかったけど) ジャパニーズフードはブームなのでどこにでもありますね昨今は。
で翌朝ホテルで朝食を食べ終えたら、先ほどの古江さんのマネージメントをされている方々と偶然お会いしました。田舎町なので宿泊のオプションはあまりないですからね。後で知ったのですが、ボクの泊まったホテルはLPGAと提携していた宿だったようで、選手やその家族のような人たちをちょこちょこ見かけました。
で土曜日3日目のラウンド。
この日からペアリングが前日までの合計スコアによって決まるのですが、なぜか今日もまた古江選手と渋野選手はほぼ似たような時間に別々のコースをティーオフ。遅めの時間だったのが唯一の救いで、早起きせずに済んだのは不幸中の幸い。両選手を同時にドライビングレンジで観れたのもなんか贅沢でよかったですね。
練習場と言えば、この日は週末土曜ということもあり、昨日は片手で余った日本人ギャラリー数が10倍になりましたw みなさん渋野さんがお目当て。車で数時間走ると数か月前に全米プロ選手権が開催されたジョージア州アトランタがあり、その時に応援されていた方々が夜通しでドライブして予選会会場に駆け付けたようです。でもそれ以外にもいろんな街から参加されていたようですね。アラバマ、テネシー、ジョージア・・・南部の各州から駆け付けたファンの中に、北西部カナダ国境のワシントン州から飛行機で11時間かけて応援に来た奴がここにいますが。w
今日土曜日は、少しだけティーオフ時間が早かった渋野日向子選手から観戦をスタート。
ボクが言わなくても「ないっしょー」「ないすおーん」「ないすばーでぃ」の声があちこちからかかります。
先にも言ったように、選手とがギャラリーを隔てるロープがここにありません。下部ツアーと同じですね。なのでどこまで近づいていいのかなぁ、と様子を見ながらの観戦です。でも思うに、ロープがないと逆に遠慮して遠くで見ちゃうもんです。基本的にホール横の乗用カートパスを出るか出ないかといった範囲での観戦。カートパスってハザードのすぐ手前に切られているのが通例ですから、プレイヤーからいかに離れているかがわかると思います。
この日は下位で苦しんでいた渋野選手が大爆発。バーディーを連発します。
で、トップギアに入った9番ホールハーフを終えたところで渋野組を離れ、古江組を観に行きます。昨日も言ったようにこの道程がとても長いわけですが、人間って慣れるもんですね。w 今日はあえて他の選手がプレーしているホールを通っていきました。いいショットには拍手を送り、注目選手のプレーには立ち止まりながら、古江彩佳選手のいるフォールズコース12番ホールへやってきました。
ギャラリー数は昨日と一緒かな。w 古江さんと同じ組で、翌週最終日まで単独首位を快走していたポーリーヌ・ルサン・ブシャール選手の身内の方々かなにかがこの組についておられました。フランス語で話されていたのが面白かったですね。もうひとりの同伴競技者、エミリー・ペダーセン(ペデルセン)選手はデンマーク出身ですから、みなさんキャディと母国語で話されていました。英語で話していたのは古江さんとそのキャディだけ。w この国際色豊かで、かつバイリンガルは当たり前なLPGAの特徴をよく表しているグループでした。
しかしペダーセンもブシャールも良く飛ばす。w 特にペダーセンが飛ばし屋ということはボクも認識していましたが、古江さんをドライバーは常に飛距離にして40~50ヤードほど置いていきます。しかしユーティリティーでピンにぴったり寄せる古江さんに対して、ショートアイアンでガードバンカーに目玉を作るペダーセン。 ゴルフって面白いですよねぇ。古江選手の特徴がより明確に出たラウンドだったと思います。
そして古江選手って、特にドライバーが一切曲がりませんね。「グッドボール!」とかいう声を毎ホール掛けるのが段々とバカバカしくなってきました。マネージャーの方に「真ん中しか行かなくてつまんないですね」という最大の賛辞をお送りしておきました。「真ん中しか行かないんじゃなくて、真ん中しか見えてないんです!」ということらしいです。すげー。
最後の17番か18番でようやくWOWOWラウンドレポーターの片平さんがお見えになりました。著名なコラムニスト/ジャーナリスト/写真家の方々も古江さんの組に合流。「あー、渋野さんがホールアウトしてインタビューも終わったんだな」とあからさまにわかるメディア関係者の動き。w ちなみにアメリカ在住の自分はWOWOWやオンラインメディアの日本向けLPGA中継を見たことがありません。海外在住だといずれにも加入できないんですよね。でも米ゴルフチャンネルだと上位に来ない限り日本人選手がフィーチャーされることはありませんし、ましてやこんな予選会など放送するわけもありませんから、結局実際に大会を見に来るしかないという・・・。 アメリカのテレビで見たことがあるのは、頻繁に登場する畑岡奈紗選手と、全英’19&全米’20の渋野さんぐらいです、ほんとに。
今日は古江さんの18番最終ホールのパットを見届けた後で、さっくりと帰りました。ちなみに古江選手はサインはするけどツーショット写真は取らせないという方針だそうです。(選手ご本人の前で確認)
この夜はアメリカ定番のチャイニーズジャンクフード、パンダエクスプレスをテイクアウトして宿でいただきました。店員のノリが良くて楽しかったなぁ。(どうでもいい?)
第一週日曜日
Week 1 の最終日となる12/5(日)。この日の古江&渋野両選手のティーオフ時間はさらに遅く、まぁ古江選手は5位なのでそれが妥当だとしても、渋野選手がなんで最終組なんだー!と頭を掻きむしってしまいました。よくよくネットのペアリング表をみてみると、今日フォールズコースを回る選手たちの中で渋野選手が最上位にいるからだそうです。つまり全選手の成績上位者は今日クロッシングスコースをラウンドする選手に集中しているということで、古江選手もクロッシングスの最終組から2番目のスロットがあてがわれました。
今日はさらにのんびりとコースに到着したワタクシ。なお、当然のことながら入場無料で観戦している我々ギャラリーに紙のペアリング表などという贅沢なものが配られることはありません。すべてオフィシャルサイトやLPGA下部ツアーのSNSサイトで確認します。
入場時、古江さんはすでに練習グリーンで最終調整をしておられて、そこに渋野選手が合流しました。
で、本日日曜日は古江彩佳選手から観戦開始。しかしスターターさんよー。選手名の発音ぐらい事前に確認してほしいなぁ。「FURUE」が発音しにくいのはわかる。「フールー」か「フールーイ」だよな。それはまだわかる。でも「AYAKA」がタイ人選手のような発音になったのはいただけないぜ。仮にも会場で世界ランキング最上位の選手なのだから。
ちなみに渋野日向子はアメリカ式だと「ヒネーコー、シブーノー」ですね。これはまだわかる。原英莉花は簡単だろうな。エリカは欧米でも一般的な名前だし。勝みなみも大丈夫かな。カツ丼ってすごく有名だし。
話は逸れましたが、爆発的にスコアを伸ばすことはないものの確実にパーを積み上げる古江選手。「ナイスパー」「グッドボール」というベタな声援に誠実にリアクションいただきまして大変感謝しております。もう日本語に英語で回答されることはなくなり、それはそれで寂しくありますが。
ハーフを終えたところでクラブハウスの駐車場に停めたレンタカーへ一旦戻りしばしの休憩とホテルの朝飯メニューをくすねて持ってきた軽い昼食を摂ります。なにせ12月なのに暑いです。連日太陽の日差しがきつく、気温も平均で25度以上あります。でもこの日はちょっと曇りがちでした。降らなかったけれど、夕立がくるかなと思ったぐらいの曇天。
そして渋野日向子選手の組を追います。今日は合流するまで5ホールぐらい歩きましたかね。東京から来られたファンの方と再会の挨拶と状況説明を受け、昨日土曜ほどは多くないけど少ないとは言えない日本人ギャラリーに紛れることなく、草葉の陰からのシブコ応援に入ります。
どうやらラウンド中にじゃがりこを食っているっぽいなどという生々しい情報を耳をダンボにして聞きながら、個人的にあまり好きではない白い上下のウェアに身を包んだ渋野選手が躍動します。というか古江選手と異なりショットが左右に曲がるのでよりエキサイティングです。先ほどの方が「これがシブコ劇場です!」とおっしゃっていました。確かにタイガー・ウッズもそういう傾向があったよなぁなどと回想しておりました。
日本人ギャラリーの方々は渋野さんを応援するだけでなく、同伴競技者のショットやパットにも声援を送ります。みなさんゴルフが好きなんだなぁと思える光景でした。みんな競争相手とはいえベストなプレーをしてほしいもんね。
特にこの組にはボクも注目しているビアンカ・パグダンカナンがおりまして、笹生優花と東京五輪にも出場したフィリピンのスーパー飛ばし屋のプレーも見どころでした。渋野さんをドライバーで数十ヤード置いていくわけですが、キャディーさん含めてこの2組は明らかに仲のいい感じ。それにしてもビアンカは普段ヘラヘラ陽気な感じなのに、ショットを1ミリでもミスるとクラブを叩きつけて怒るという、これは東南アジア特有のメンタルマネジメントなのでしょうか。タイの新人王、パティ・タバタナキットにもそんな傾向があるように感じます。
日の短い12月のラウンド。そして最終組の渋野さん。あたりが薄暗くなってきたグリーンサイドにはどこからか持ってきた照明が入り、その光に照らされる中で見事なバーディーフィニッシュ。個人的に今日がQシリーズ観戦最終日なわけですが、渋野さんは最高のエンディングを演出してくれました。これで安心してダラス経由シアトル行の飛行機に乗れます。
チェックイン/搭乗時間までしばらくあるので、選手のゴルフバッグなど記念撮影しつつ、渋野さんのインタビューを遠目に見て暇をつぶしておりました。古江さんのマネージャーさんは時間を気にしていたのに対し、渋野さんの場合どちらかというと放任な印象をうけました。だからいつまでたっても囲み取材が終わらない。w
するといつの間にか和やかにかつ自然にギャラリーとの撮影会&サイン会へと移行しました。ここで自然に列を作るのは日本人の特性なのかなと客観的に見ておりましたが、日本のプロゴルフ会場のようにスタッフが流れを切ることもなく、むしろ協力的にファンとの交流を進めてくださっていました。なかなか笑える要求にこれまたボケで返す渋野さんのキャラクターもあり、地元モービルの方が「ここのところ日本人たちがこんなに笑っているのを見たことがない」とおっしゃっていて、確かにコロナ禍でそうかもなぁと納得させられると同時に、これが渋野さんの魅力なのかなと改めて気が付かされました。
というかコロナ禍にあって、日本ではまだ選手のサインも禁止されているもんなぁ。「日本じゃサインなんてしないですから!」とおっしゃっていた人がいて、え?なんで?と思ったけれど、確かにここ2年弱はそんな状況ですし、いつ再開できるか分かりませんよね。アメリカでは5月から有観客となりましたがそのような制限はありません。その有観客最初の試合で渋野さんに自撮りいただいたのは以前ブログに書きましたけど、今回またツーショットを頂きました・・。そしてサインも。
入場無料でここまでしてもらっていいのか?!
若い女性が泣き出し、「かわいいなぁ。アメリカに来れるよう頑張るから!」と励ましつつ自分を鼓舞する渋野さん。
日がとっぷりと暮れた駐車場に向かうと、コースからまだ聞こえる渋野さんとスタッフの笑い声。
お疲れ様でしたー!と大声で叫び、大きなバンに乗り込んで去っていきました。
帰ります、そして出発します
ボクもレンタカーを返しに行きます。その途中で昨晩も立ち寄ったスーパージャンクフード、パンダエクスプレスで焼きそばと照り焼きチキンを買い、空港に行く前に食べつくしました。パンダ最高。どこにでもある。超使える。照り焼きチキンは絶対に外さない。
レンタカー返却後、帰りの飛行機にチェックイン。搭乗口近くで先ほどまで会場にいたと思われる日本人スタッフが電話口で話していて気になったのと、ダラス空港での乗り換え時間が本当にわずかしかなくておしっこ漏らしそうになりながら乗り継ぎ便に搭乗したことぐらいで、大した事件もなく、ゴルフ場を離れてから10時間後に12月の寒いシアトルに舞い戻りました。
いや待て。空港かレンタカー屋でモバイルバッテリーを無くした模様。
それはともかく、Week 2は行かないですけど、Week 1 だけでもいいショートトリップでした。
それから1週間がたち、ドーサンでの Week 2 を終え、古江選手、渋野選手ともにLPGAのツアーカードを手にしました。おめでとうございます。
しかし二人とも幕尻からのスタート。酷なことを言うようですが、直近2年前のQ-シリーズでツアーカードを得たプレーヤーでその後トーナメントに勝った選手は今のところいませんし、予選会を通った河本結、山口すず夏両選手は来年のフィールドにいません。横峯さくら、河本結選手のようにせっかく取った/守ったツアーカードを自ら放棄してしまう日本人選手もいます。すぐに来年はメジャー制覇!と色めき立つファン心理もわかりますし、ボクもその優勝の可能性はあると思っていますし、実際に3年前のQ-シリーズでトップ通過したイ・ジョンウン6は翌年の全米女子オープンでいきなり勝利した例もありますが、あまり期待値を上げるのも健康的ではないなと思います。
LPGAの最終予選会なんて、下部シメトラツアーに毛の生えたぐらい、いやひょっとするとそれ以下の大会ですから、今回の日本人現役トップ選手の来襲と怒涛のメディアカバレッジは極めて異様で異例なものだったと思います。実際そう見えました。でもプロ競技がポジティブな意味で注目を浴びることになんら文句も問題もないですよね。
日本での成功がもたらした周囲の手厚いサポートを得て、同じスタートラインに立った他のチャレンジャーとは1桁も2桁もすでに稼ぎの違う中にあっても、個人のモチベーションとゴールを高く持って挑戦し続けてほしいですね。
というかまずは海外生活を楽しんでほしいです。