2018 フェニックス・オープンをミル (1)
アリゾナ州フェニックス郊外の TPC スコッツデールで開催されたウェイスト・マネジメント・フェニックス・オープン (Waste Management Phoenix Open)の3日目(決勝ラウンド初日)をミテきました。
最初に言っておかなければなりませんが、このフェニックスオープンは松山英樹選手の3連覇がかかっていた大会です。
しかし予選初日のラウンド中に左親指付近を負傷してしまい、無念にも2日目のラウンドを棄権。
ちょうど会社の昼休み時に携帯で途中経過をチェックしたら、
Hideki Matsuyama – WD
と表記されていて、
「WD って?」
「Withdraw =棄権ってこと?」
と頭が真っ白になり、ひとり心の中で大騒ぎしていました。
しかし出ないものはしょうがない。
松山選手の出る試合は結局彼のラウンドしか観ずに終わってしまうことも多いので、「今回はアメリカ人プレイヤーをちゃんと見てやろうじゃないのー!」と意気込んでアリゾナ入りしました。
フェニックスオープンとは?
まずフェニックスオープンの特異な部分について、ワタシの感想とともに書き連ねていきたいと思います。
フェニックスオープンと言えば、傍から見るとこんな印象じゃないでしょうか。
- 16番パー3がシグネチャーホールで、観客席に囲まれている。
- NFL のスーパーボウルが日曜日に開催されるため、土曜日の観客の方が多い。
- その土曜日3日目の入場者数は20万人を超える。
これだけでもとんでもないトーナメントであることが分かりますが、その3日目を実際にミテみると、ギャラリーロープの外側は普段のトーナメントの常識が全く通用しない、という印象です。
駐車場
まず無料のギャラリー駐車場がとてつもなく広いです。地平線の彼方まで駐車スペースじゃないかと思うぐらい広いです。
この時点で20万人を一日で収容するとはこういうことなのかと思い知らされます。なおかつメインの駐車場は高速から降りてすぐなのでアクセスがとてもいいです。
そしてセキュリティーチェック、シャトルバスともにスムーズです。
到着した午前9時というのはピークタイムのひとつだと思うのですが、少なくとも行きは待ち時間がありませんでした。
入場
数分ほどでシャトルバスを降りると広いコンコースをしばらく歩きます。
当日券を購入したのですが、これまたほぼ並ぶことなく購入できました。
そしてすぐに入場テントに大きさに圧倒されます。
この時点でもうお祭りムードです。
フィル・ミケルソンの顔をプリントした団扇を振りながらファンたちが「ふぃる!ふぃる!」と叫んでいます。
その一方ではマスターズのキャディのかっこうをした集団が大騒ぎしています。
彼らから逃げるようにフジロックのレッドマーキーの倍はありそうなテントに入り、協賛各社のブースを素通りします。
NFL プレーヤーのグッズコーナーがあるのが謎です。
おそらく翌日にスーパーボウルを控えているからなのでしょうか。
コース
ゴルフコースはめっちゃきれいです。砂漠の中を歩いてきたせいで芝生の緑が余計に輝いて見えるのかもしれません。
こんな砂漠の中にどうして? と思うぐらい大きな池が後半数ホールに配置されています。
実際に見て驚いたのはフェアウェイのうねりがすごいこと。
平坦な部分がないような印象を受けました。
この辺のもともとの地形をうまく生かして難易度を上げているのでしょうか。
地形を生かしているといえば、ティーグラウンド、フェアウェイ、グリーンすべてにおいて、基本的にすり鉢状になっていて、視界を遮るものが少なく、どこからでもプレーがよく見えます。
単純に広いだけではなく、これが20万の人たちを収容して満足させられる秘密だと思いました。
なんだかんだで人の背中と後頭部ばかり見ていたら楽しくないですからね。
この地形のおかげで、あくせくすることなくのんびりとプレーを観戦できるようになっています。
ギャラリースタンド
とんでもないことになっています。
16番パー3ホールはやっぱりすごいです。
ホール全体が観客席で完全に取り囲まれていて、外側から内部の様子をうかがい知ることができません。
高額のチケットを購入した人か、スポンサー関係者か、はたまたセレブでもないと優先入場できないようです。
以前の投稿でも言及したのですが、一般ギャラリー用の座席枠はわずかに 3,400。
このわずかな椅子を来場者20万人で争うのですから、マスターズの18番グリーン周辺に席を確保するよりも競争率は激しいのではないでしょうか。
ボクは最初から中に入るのはあきらめていたのですが、あきらめきれないギャラリーがものすごい列を作っていました。
(この写真で建物の前にいる群衆のほとんどは席の空きを待つ人たち。)
しかしどこにいても場内の熱気は手に取るようにわかります。
甲子園か府中競馬場の場外にいるような感じですね。
常にやかましいです。遠く離れた練習場まで聞こえてきます。
しまいにはホワイト・ストライプの「セブン・ナイションズ・アーミー」のギターリフの大合唱まで聞こえてきました。
この建物の中と周辺だけは異様な雰囲気です。
しかし16番だけじゃなくて、ミドルホールの17番もすごいんですよ。
入場した時、遠目に見てこれが16番だと思いましたもん。
巨大な2階建てのギャラリースタンドがフェアウェイ&グリーンの左右を挟むように取り囲みます。
ここは向かって右側のスタンドが一般にも開放されていて、16番の喧騒に疲れ、競争に敗れた人たちが一時の涼を求めにやってきている感じです。
自分も座ってみましたが、なかなかいい眺めでした。
しかしギャラリーがくそやかましいです。
一応ボランティアスタッフが「Be Quiet」のボードを上げますが、まったくもって焼け石に水。
誰も見ちゃいませんし静かにしようとはしません。
大リーグの試合中にフィールドで誰かがゴルフをやっている感じです。
こんな経験はなかなかできません。
おそらくこのフェニックスオープン以外では体験できないのではないでしょうか。
そして最終18番も素晴らしい。
先のファーマーズ・インシュランス OP の18番は一般のお客さん用のスペースが猫の額ほどだったのとは対照的に、フェニックス OP の 18 番はすり鉢状の傾斜に沿って一般ギャラリーも多く観戦できるようになっています。
なので人口密度も高く、歓声のボリュームも格段に上。
プレイヤーもこの大歓声を受けたいがために頑張れると思います。
ギャラリー
この3日目は21万人にも膨れ上がったギャラリー。
想像以上に若いです。
日本のトーナメント会場では考えられないぐらい、お兄ちゃんお姉ちゃんたちが多いです。
「老若男女」の、「老」が少なく、「女」が多い感じです。
女性の装いも様々で、ワンピース、セパレート、サングラス、短パン、などなど、普段の生活でもなかなかお目にかかれない、というかこの 1年間に見たお姉さんの数を今日一日で上回った気がします。
この雰囲気、なにかに似てるなーとずっと思っていたのですが、
最後の18番ホールで、
「こりゃ、コ―チェラだー。」
と思いました。
アメリカで最大のオルタナティブミュージックの祭典=コ―チェラフェスティバル。
会場もちょうど砂漠の中という部分も酷似しています。
ゴルファーのプレーを観に来たというよりも、降り注ぐ太陽のもと、きれいな芝生の上で、ビールやレモネードを飲みながら、友達とわいわい騒ぐ。
ゴルフはパーティーの盛り上げ役でしかありません。
なにせ、入場ゲートに “THE PEOPLE’S OPEN” = みんなの大会、という垂れ幕もかかっていましたから。
日本のフジロックの場合だと、
「ビール飲んで、友達としゃべって、川で水浴びして、あと寝てた。でもフジロックサイコー!」
みたいな感じでしょうか。
相対的にゴルファーに関心が薄いので、先週のファーマーズと比べても、携帯で写真・動画を取っている人達も少なめです。
アフターパーティー
と呼んでいいのかわかりませんが、フェニックス OP の特徴のひとつは、ラウンド後にミュージシャンのライブがあることです。
今夜は超有名 DJ の Zedd が登場します。
過去には Steve Aoki や Tiesto、Blink-182, Train らもアフターパーティに参加したことがあり、大会の目玉となっています。
プロゴルフとライブエンターテイメントの融合、というか共存。
素晴らしすぎて涙と鼻血が出そうです。
ぜひ、自分の名前で ○○インビテーショナルという大会が開催出来たら、オレにプロゴルファーとライブアクトをキューレートさせてくれー。
選手
この狂騒の喧騒の中で、一番まともな、というか一番地味なのがフィールドにいるプレイヤー達です。
彼らは、いつもと同じ装いで、いつもと同じルーチンで、いつもと同じようにクラブを振ります。
メインアクトであるはずのギャラリーロープの中の人たちが一番まともで一番落ち着いているというこの異常事態。
この日はエコデーということで、緑の服を着てくることを推奨されていたのですが、きっちりとそのドレスコードを守っていたのはプレイヤー達だけで、ギャラリーはそんなの知らん!って感じでバラバラでした。
トイレ
シャトルバスを降りると目に入ってきたのはおびただしい数の仮設トイレ。
場内の至る所に設置されていましたが、それでも個数が足りず、常に行列の嵐。
待つのがいやなので、あやうく一日トイレに入らずに過ごすところでしたが、そんな中でお勧めなのが15番ホール右側の傾斜を登った連絡通路にあるトイレ。
並ぶことなく入れました。
来年もあるかどうかは保証できないけど。
食事/ドリンク
食事と飲み物の確保もこれもまた問題でした。
トイレ同様、場内の至る所に “Concession” というフード&ドリンクスタンドがあるのですが、ランチとビールを求めるお客さんで常に大混雑・大渋滞。
ゴルフも見ずに列の中で過ごす時間がもったいないので、結局観戦中は飲まず食わずでした!
天気
冬のシアトルからみると、最高すぎて涙が出る天気。
空は雲一つない快晴で、気温は30度近く。
砂漠なので湿度は低く、風も少ない。
(シアトルの場合、空はいつも曇天で、気温は10度以下。常に雨だけど湿度は低めで、風もよく吹く。)
日焼け止めを持ってこなかったのは失敗でしたが、真冬の2月にこの常夏の天気はうらやましいです。
(ちなみにシアトルに戻った翌日午前にスキーに行きました・・)
お土産
全米オープンなどと比べて、意外にもお土産コーナーが小さい!
グッズも、PGA の会場ならどこにでもありそうな、通り一辺倒のものしかありません。
いつものようにボールとクラブを拭くためのオリジナルタオルを買いましたが、モノではなくて、体験を通してお金を稼ごうという意図が見て取れました。
退場
日が傾くころにはあたりは酔っ払いだらけ。
入場時よりも高いんじゃないかってぐらいのテンションでうるさいです。
突然の USAコールが起こったのでなんだと思ったら、アメリカの国旗を模したウエアを着たギャラリーがいました・・。
駐車場行きのシャトルバスの列を見て現実に帰ります。
UBER ではなくレンタカーを利用したのですが、なんと今回の車はフォード・マスタングのコンバーチブル!
小型車をリクエストしたのに結果はこれ。
でも29ドルぽっきりだったので安かったです。
乗り心地は・・・どうかなぁ・・。500万円も出す価値あるかなー。
クルマのことはよく知らないけれど、スポーツカー仕様の足回りとコーナー性能はさすがでしたが、加速は思ったほどでもなかったかな。
>>引き続きジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム、フィル・ミケルソン、バッバ・ワトソンのラウンドの様子を見てみよう
<2018 フェニックス・オープンをミル>
- (1) フェニックス・オープンって?
- (2) ジャスティン・トーマス、ジョン・ラーム、フィル・ミケルソン、バッバ・ワトソン