2020ヒューストンオープン②松山英樹優勝争い
8か月ぶりに米国本土での有観客開催となったヒューストン・オープン最終日をメモリアル・パークGCに観に来ました。
各日2千枚のみ発行された入場チケットの入手から、コロナ禍における会場の様子と大会の運営、そして先にティーオフした小平智選手とブルックス・ケプカらのプレーは「2020ヒューストンオープン最終日①」で触れましたが、これだけ少ないギャラリーの中で松山英樹選手のラウンドを見られるのは千載一遇のチャンスとしかいいようがありません。
3日目終了時点で通算4アンダー8位タイにつけています。首位とは5打差で、逆転は厳しいかなぁといった状況なので、前半はじっくり見させてもらって、後半はダスティン・ジョンソンを中心とした後ろ二組の優勝争いを堪能するプランでした。
松山英樹選手:ショットキレキレ
最終組2つ前の組に入った松山選手。
とにかくショットがすごい。
いま、おそらく自分は、世界でナンバーワンのショットメイカーのプレーを目 の前で見ている確信がありました。
ドライバー、フェアウェイにしか行かない。
アイアン、ワンピン以内にしか寄らない。
他の選手がショットが四苦八苦している中、ショットの精度は抜きんでています。
納得の行かないショットをしたときのうなだれた様子をまったく見せることなく、常にバーディーチャンスにボールを運ぶ松山選手。
しかし、
パットが入らない。
序盤の6ホール中、過半数のバーディパットを外していました。
もう少しパットが入っていればとっくに首位に追いついているのに!とストレスが溜まるわたくし。
なにせ目の前で日本人選手の優勝を見たいがために長距離移動してPGAのツアー会場へ足を運んでいるので、チャンスがあるときはぜひそのチャンスを掴みたいし掴んでほしいわけです。
ロングホールで難なく取ったバーディ2つを含め、前半9ホールで3つスコアを伸ばしたという結果だけ見るとすごいですが、個人的にはあと2~3つは少なくとも上積みできたという印象をぬぐえません。
まぁでも何度も言うようにショットの切れは抜群で、自分が記憶している限り1度しかグリーンを外さなかったと思うのですが、そのアプローチもピンフラッグを直撃して楽々パーセーブといったように、とにかくボギーを叩きそうな気配すらありません。
しかし中盤を終わって首位と4~5打差というリーダーボードを見て小休止。昼飯を食べに一旦松山組から離脱します。
松山英樹選手:首位を猛追!
疲れをいやしつつ、食べ放題・飲み放題のランチをゆっくりと堪能して、松山組と再合流した15番ホール。
リーダーボードを見て驚きます。
首位と2打差の3位タイ。
メシを食っている間に連続バーディーを取ったのか!
バーディパットを見れなかったことに後悔はしていませんが、これで松山組を離れて最終組を中心に優勝争いを堪能する、というプランは崩壊しました。いや、正しく言うと松山選手が優勝争いするのを見ようとしているわけで、もともとの計画に沿っているというか、よりベターな状況になっているのかもしれません。
首位と2打差を追う16番ロングホール。
ティーショットのボールが右の池すれすれを飛行したのを見たギャラリーからどよめきが起こります。
ここは安全にレイアップして3打目勝負。
当然のことながらピンに絡みます。
そしてバーディーパットが綺麗に入って一度目のガッツポーズ。これで首位と1打差の単独3位になりました。
どうでもいいですが、このパットのとき、ボクが松山選手の背景にボクの前進が映り込んで全米のお茶の間に届けられたようです。PGA のオフィシャルサイトで見ちゃいました。
そして17番ミドルホール。
ここは16番から折り返すような形になり、遮るものが何もないため、右目で2位のダスティン・ジョンソンのショートゲームを見ながら、左目で松山選手のティーショットとセカンドを追うような形になりました。
今考えると、翌週のマスターズチャンピオンを右手に、世界最高のショットメイカーを左目に見ていたわけですから本当に贅沢ですね。かつ2千人しかギャラリーがいないのでそれも思いっきり余裕で見れちゃうという。通常のトーナメントでこの状況なら、人垣でどっちも見れないという状況に陥っていたと思います。
ダスティン・ジョンソンが寄らず入らずのパーでスコアを伸ばせなかったことを確認したのち、松山選手のバーディーパットを見に走りました。
そしてその下りのバーディーパットを見事に沈めて今日2度目のガッツポーズ! 密なグリーンサイドからめっちゃ大きな歓声が上がりました。マスクを外している他のギャラリーから「これでヒデキは首位タイだよなタイ!」という声が聞こえてきます。
もうこの際、コロナとか、マスクとか、密だとか、密じゃねえとか、すべてどうでもいいんです。とうとう首位タイです。ざわーっと全身に鳥肌が立ちます。やばい、涙が出そうです。そんなに数多くPGAの大会を見てきたわけではありませんが、日本人選手が最終日に首位に自力で立った瞬間を、いま目の前で始めて見ています。
かつ優勝争いなのにこのギャラリーの少なさ。
レアすぎます。
最終18番ミドルホール。
ティーショット。完璧です。ど真ん中です。バーディーしか取れる気がしません。
松山英樹選手:勝負の18番!
しかしこのティーショットの間に、同じく首位タイで最終組をまわるC・オルティスがスコアを伸ばして松山選手は首位陥落。
なのでこの最終18番ではどうしてもバーディーがほしいところ。
セカンドショット。
グリーン周りのギャラリーの反応からするとまずまずだった模様。
グリーン奥からのバーディーパット。
最後にまたパットに泣かされ、カップの横をするりと抜けていきました。
首位との一打差を再度詰めることはできず2位タイ。
しかし7バーディーノーボギーのコースレコード63は立派といえます。だけどもうちょっとパットが入っていたら、たぶん50台は余裕で出てたっす。w) そんな夢を見させてくれたラウンドでした。
後続のダスティン・ジョンソンも同様にバーディパットを外して松山選手を超える溜息がギャラリーから漏れる中、日本人としては松山選手と同じ2位タイでひとまずよかったと安心の溜息。次の組のオルティスが万が一ボギーを叩けば、再び首位に並び、3人でのプレーオフになるわけですから。
しかしその18番で逆にバーディパットをねじ込んで勝利を掴み取ったオルティス。
知らなかったのですが、オルティスはメキシコ出身の選手で、国境を接するテキサス州での大会ということもあり、スペイン語での歓声がたくさん飛んでいました。特にこのヒューストンはメキちゃん率の高い都市でもあるので、勝つべき人が勝ったのかなという印象もありました。
優勝オルティス、2位タイにジョンソンと松山選手。次の週の全く同じ時間にダスティン・ジョンソンがオーガスタでグリーンジャケットを着ることになるわけで、松山選手も惜しいところにいたのだなぁと思うと同時に、このドライバー、アイアンの精度なら今回はメジャーに勝てるかも、と無双だった2017年シーズンに並ぶ期待をさせてくれたのも事実でした。
いやしかし悔しいなぁ。
その17年の全米オープンで見て以来の2位タイ。優勝パットを沈める日は近いのか、はたまた遠のいたのか。
ヒューストンオープン動画編もごらんください。